タイ伝統医学においても経絡のようなエネルギーラインが存在します。タイ医学の場合には、「経絡」と言わずに「セン」と言います。「セン」は全身に10本あります。そしてそこから枝分かれした細かいエネルギーラインのことを「ナーディ」と言い、12000本あると考えられています。この中を流れるものが「プラーナ」であり、中医学の「気」に相当します。「セン」と「経絡」を比較すると、これらのエネルギーラインは全く同じではありませんが、約70%程度は同じ位置にあります。インド発祥のヨーガにおいても、エネルギーラインが存在します。ヨーガではこれを「ナーディ」と呼んでいます。中国、インド、タイなど、どのエリアの伝統医学を調査しても、こうしたエネルギーラインが存在しているという前提に立って理論が構築されているのがわかります。
タイ古式マッサージは、人体に「セン」と呼ばれるエネルギーラインが流れているという考え方の上に成り立っています。このセンは目に見えないもので、解剖学上確かめることはできません。このエネルギーラインの考え方は、古代インド医学(アーユルヴェータ)にも存在しているものです。タイマッサージが、アーユルヴェーダの影響を受けていることはこのことからも明らかです。 中国の経路にもこのようなエネルギーラインが存在します。これらは似通っていますが決して完全には一致はしません。目には見えないけれども、確実に作用する力。それこそが不可思議なエネルギーであり、それが「気」なのです。東洋医学全般にこのような「気」の流れる道があるとされ、まさにタイ古式マッサージも東洋医学のひとつなのです。
人間は、自分を取り巻く宇宙エネルギーと常にバランスを保ちながら、肉体や精神を維持しています。呼吸によって吸収された空気や食事によって吸収された食物は、人体に入ってから生命エネルギー(プラーナ/気)に変わり、エネルギーラインを通 って全身に供給されます。つまり、エネルギーラインは、自分と宇宙エネルギーを結ぶ掛け橋の役割をしているわけです。エネルギーラインは、10本のセンのほか、網の目状にめぐる気道72000本のナーディーを加えて「2番目の皮膚」「2番目の身体」として人体を形成しています。たとえば、人間が具合が悪いという状態は、生命エネルギー(プラーナ)の供給が妨害され、不足した状態と考えられます。そこで、マッサージによってエネルギーラインに刺激を与え、生命エネルギー(プラーナ)の流れを正常にしていくというわけです。
プラ-ナとは、サンスクリット語で「古い伝説」という意味。ヒンズー教の教えで神々を讃える内容のこと。インド医学では、体内に宿るエネルギーのことをこう呼びます。それは大きな活力を持ち、ときに激しく運動するというもの。このプラ-ナが渦巻きのように凝縮した場所をチャクラといいます。チャクラは輪とか車輪というサンスクリット語で、「意識エネルギーの中心」という意味。大脳から脊椎基底部の7ヵ所に存在します。チャクラは車輪に例えると、人間の生命は7つの車輪によって走る車ということになります。すべての車輪が絶えず回転し、人の生命を制御し進展させているという考え方です。
タイマッサージでは、エネルギーラインの中でも特に重要とされる10本の全身のセンを刺激するようにして施術を行います。「セン」というエネルギーラインの存在自体は、解剖学上確認できませんが、現代では、「気」や「プラ-ナ」の存在も明らかになってきています。その存在は、波動という形で確認できます。 |